私のパソコン雑記帖

LaTeX 古文書エディタ

カテゴリー: PC一般
15Jan2011

古文書の書起こし文は、左側に寄せるレ点など漢文の要素と右側に寄せる文字要素を含みますから複雑です。Word などでも出来ますが LaTeX(ラテフ) を使うと美しく仕上がります。LaTeX は組版ソフトウェアで数学式や化学式等の記述によく使われるそうですが、漢文に応用している例があり、それを更に古文書記述に拡張するのがこのサイトの目的です。なお次のサイトを参考にしました。
http://www.cwo.zaq.ne.jp/haruki_satoyosi/latex/latex.html LaTeXで漢文 http://homepage3.nifty.com/xymtex/fujitas/kanbun/kanbunex.html 漢文の訓点文の組版


導入の手順

  1. Win32 Tex のインストール (Windows 用 TEX 本体)
  2. Dviout のインストール (コンパイル後のビューワー)
  3. Ghostscript のインストール (フォントビューワー)
  4. LaTeX 用テキストエディターのインストール
  5. 漢文用スタイルファイルのインストール

Win32 Tex, Dviout, Ghostscript の一括インストール

LabEditor というサイトからフリーの一括インストーラー LabTex Installer をダウンロードします(Latest Version 1.20 2011年1月5日現在)。

zip ファイルなので保存してから解凍してもよさそうですが、それだとうまくいきませんでした。「開く」を選択してダウンロードします。次にダウンロードされたフォールダの中にある LabTeXInst.exe を実行します。解凍プロセスがあってその後インストールが始まります。通常のアプリケーションソフトのインストールとは様子が違います。TeX Programs のインストールは OK ボタンを押さなくても自動的に進行しました。TeX のインストールが終わると、Ghostscript Dviout と進みますが、ポップアップされる指示に従うだけでほぼ自動で進行してインストールが終わります。

インストールの結果Cドライブに gs / dviout / usr の3フォールダが生成されています。gs は Ghostscript、dviout は自明、usr 以下は Tex 本体ですが、これを展開すると local その下に bin と share というフォールダが生成されています。share は 500MB を超えるサイズです。


テキストエディターのインストール

Vector DL ページから TexEditor をダウンロードします(フリーソフト)。ダウンロード解凍して(配置する場所はどこでも可) TeXEdit.exe をクリックすると起動します。なおデスクトップに TeXEdit.exe のショートカットアイコンを置くと便利です。起動後「ツール」⇒「設定」を開いてパスを確認します。
pLaTeX の位置: C:¥usr¥local¥bin¥platex.exe
DVIOUT の位置: C:¥dviout¥dviout.exe
のようになっている筈です。

早速次のように入力してみます(右図参照)。
¥documentclass{jarticle}
¥begin{document}
最初の練習
¥end{document}
「ファイル」⇒「名前を付けて保存」から sample.tex として保存します。次に「実行」⇒「コンパイル」をクリックして下さい。コマンドプンプトの画面が出て消えるとコンパイルは成功です。sample.tex と同じ場所に sample.dvi というファイルが生成されています。エラーが有る場合はエラーの場所で止まりますから、e あるいは x と入力してコマンドプロンプトの画面を終了し、エラーを修正後再度トライします。コンパイルが成功したら、次に「実行」⇒「DVIを表示」をクリックして下さい。コマンドプロンプトの画面が出て消えた後 sample.dvi が表示され、「最初の練習」と見えるはずです。


漢文用スタイルファイルのインストール

TeX/LaTeX Applications by Shinsaku Fujita にスタイルファイルがあります。ここから、

  • furikanaパッケージ (中ツキルビ)    furikana.sty
  • sfkanbunパッケージ (漢文)       sfkanbun.sty (ver 1.01)
  • jdkintouパッケージ (自動均等割)   jdkintou.sty

をダウンロードし
C:¥usr¥local¥share¥texmf¥tex¥platex¥misc というフォールダーに保存します(クリックして保存を繰り返す)。

スタイルファイルを収納するするフォールダー名は任意です。上例は misc というフォールダーに入れましたが、例えば同じ platex の下にある base というフォールダーに保存しても構わない、ということです。今後新しいスタイルファイルが必要になった時は同じように扱います。


サンプルコード(1)

このコードは sample1.tex からダウンロードできます。TexEditor で読み込んで「コンパイル」「DVIを表示」を試して下さい。以下コードの解説。 参照:dviout

1行目:B5横置き、縦書きを設定。参照:文書クラス これに合わせてビューワー(dviout)も Pager から B5 Landscape を設定する必要があります。
2行目:%で始まる行は実行されません。Preamble とは前書きという意味です。
3行目:ページ番号なしの設定。
4~8行目:適用するスタイルを設定。漢文用スタイルも宣言されています。\usepackage{utf}については後で触れます。
9~12行目:余白や書込み幅の設定。参照:版面を構成するパラメータ
13行目:本文の始まり。
14行目:文字サイズ、行送り幅を設定。
15行目:¥noindent が無いと、半文字の字下がりが生じる。

以下本文記述のルール

右寄せの助詞: otatebox{90}{$^{X}$} のように上付き文字を90度回転して作ります。「X」 のところに「者」、「江」、「而」、等が入ります。

\kundoku{}{}{}{} の使い方
第1引数:親文字の漢字が一文字入ります。
第2引数:親字の読み仮名を入力します。省略すると何も入りません。
第3引数:送り仮名を入力します。省略すると何も入りません。
第4引数:返り点を入力します。レ点・一点・二点・上点・下点……はそのままの文字を入れます。一レ点は \kundoku{X}{}{}{\ichireten{}}、上レ点は \kundoku{X}{}{}{\uereten{}}、等の記述ができます。

改行:\ または空白行で改行します。
\kundoku{}{}{}{} を2個以上続けてコーディングする際、間で改行すると、文字間に微妙なスペースが入ります。


サンプルコード(2)

このコードは sample2.tex からダウンロードできます。TexEditor で読み込んで「コンパイル」「DVIを表示」を試して下さい。以下コードの解説。 参照:dviout

1行目:A4縦置き縦書き、2段組を設定。参照:文書クラス これに合わせてビューワー(dviout)も Pager から A4 Landscape のチェックをはずす 等の設定する必要があります。ただしデフォルト設定はこのようになっています。
4~8行目:適用するスタイルを設定。漢文用スタイルも宣言されています。
9~13行目:余白や書込み幅の設定。参照:版面を構成するパラメータ
14行目:本文の始まり。
15行目:文字サイズ、行送り幅を設定。
16行目:¥noindent が無いと、半文字の字下がりが生じる。
17~75行目:sample1 と同じ
76行目:ここから2段目に入る。フォントサイズを小さくしているが、行送りは1段目から変えていない。この為、上下の行は揃う。 77行目:2段目の文字カラーを変えている。

以下本文記述のルール

¥kana{}{} の使い方
第1引数:親文字の漢字が一文字入ります。
第2引数:親字の読み仮名を入力します。省略すると何も入りません。


合字「ヨリ」の入力

合字「ヨリ」にはユニコード番号 309f が振られています(16進コード)。一方 Windows は基本的にユニコードをサポートしています。従ってスタイルの設定に ¥usepackage{utf} を入れ、本文の中で ¥UTF{309F} と入力すると合字を表すことができます。ただ Windows OS や Office のバージョンによっては、該当するフォントが収録されておらず合字を表せないことがあります。その時は後述する「文字鏡のインストール」を参照して下さい。


PDF 出力

sample1.dvi / sample2.dvi 等は dviout からそのまま用紙サイズを選定して印刷できます。ただしメールに添付して他人と共有しようとするなら PDF など汎用性のあるドキュメントに変更する必要があります。その方法もいろいろあると思われますが、ここでは PDF 仮想プリンターに出力して問題なく変更できたことを報告するにとどめたいと思います。sample1.pdf / sample2.pdf は CubePDF という仮想プリンター(フリーソフト)で出力した例です。


以上で LaTeX 古文書エディターの導入は終了です。以下はユニコードで「ヨリ」の合字が表せない場合の代替方法です。


文字鏡のインストール

文字図形閲覧ソフトウェアから MOCFSMAP012.ZIP をダウンロード解凍します。また同所から MOJIKM0D.EXE (font name: Mojikyo M113) をダウンロードします。次に Kohsaku HOTTA's page から mjfonts2.lzh をダウンロード解凍します。解凍して得られた mjfonts2 の中に「Mjfont パッケージのインストールと利用方法」というテキストがあり、以下の作業はこのテキストに従って進めます。ページ(13)からページ(17)までの Step1~Step3 です。補足します。

  • Step1 ダウンロードした MOJIKM0D.EXE を実行すると mojikm0D.TTF が得られますから、これを 「スタート」⇒「コントロールパネル」⇒「フォント」を開いてそこに貼り付けます。また同じく解凍して得られた MOCFSMAP012 に入っている mocfsmap.exe のショートカットアイコンをデスクトップに作ります。これはマップツールで、文字鏡の文字番号に対応する文字を表示する時に使います。
  • Step2 STY というフォールダーに入っている mjfonts.sty / jt1mj.fd / jy1md.fd を base フォールダーにコピーするようにとの指示ですが、どんな名称のフォールダーでも構いません。
  • Step3 $ADD と表現していますが 変数名ではなく ADD というフォールダの意味です。ttfonts.map の収納先を例示していますがおそらく間違いです。まどわされないよう確かめることです。Step3 最後の TEXPK: のところはよくわかりません。そのままにしておきましたが特に支障はありませんでした。

以上の準備が済んだら、サンプルコード sample1.tex / sample2.tex で スタイルの設定を ¥usepackage{utf} から ¥usepackage{mjfonts} 変え、本文内で ¥UTF{309F} を ¥TMO{069681} 変えます。これで文字鏡フォントを使った合字「ヨリ」を表すことができます。


文字鏡補足

上例は文字鏡のフォントのうち合字「ヨリ」を含む部分だけをインストールしましたが、この中に江戸仮名が含まれています。TMO{069301}~TMO{069513} がそれです。通常書起こし文では江戸仮名を現在のひらがなに書き換えるならわしです。従ってあまり使い道がないかもしれませんが、江戸仮名ひらがな対応表などを作るのには便利かもしれません。

文字図形閲覧ソフトウェアから MOTTF020214.ZIP をダウンロードして解凍すると、33個のフォントファイルを一挙に入手できます。上例はその内の一つを利用したケースです。33個全部を利用することは勿論可能です。ただしマップツールが番号を入力して検索するだけですから、実用に耐えないと思います。本来の高度なマップツールは有料でしか手に入らないようになっています。部首からだけの検索だったら文字鏡番号表を利用できます。


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